手の届かぬ星

静まり返ったログハウスを発ってから、幾日が過ぎただろう。
やはり人恋しくなって、以前と同じ日々を繰り返す。

冒険者になった当初から、あの大木に括りつけたハンモック以外の場所に腰を落ち着けられなかった。
だから数ヶ月おきに、いろんな場所を歩き回った。
心休まる場所を探して。
それも今月で3年と2ヶ月。



共に心身を鍛える仲間と、その場所は見つけることが出来た。
それはただの偶然。
けど、偶然であったとはいえ、出会えたことにとても感謝してる。



そう、結局…俺は寂しいんだ。
自分から自分の居場所を手放したクセに。











そろそろ数ヶ月経ったかと、いつものように紹介所で様々な旅団の資料を見た。
普段とあまり変わり映えしない旅団名の一覧が、目の前を通り過ぎていくだけだったけれど。
一つの旅団紹介で目が留まったんだ。



今まで見かけたことのない旅団名、会ったことのない団長。



紹介所で貰った資料を頼りに、こっそり覗いたこともある。
そこで…驚いたんだ。
あの頃、あの場所、確かにあったあの光景によく似ていて。
何よりも、団長さんに驚いた。
失礼な話…とても似ている、そう思ったから。



きっと、ココでなら心も身体も休める。
きっと。